
上村 松園、は、明治の京都下京(しもぎょう)に生まれ育ち、女性の目を通して「美人画」を描いた日本画家。同じく日本画家の上村松篁(しょうこう)は息子、上村淳之(あつし)は孫にあたる。
気品あふれる作品群の中で、特異な絵が2枚ある。「花がたみ」と「焔(ほのお)」である。
1915年の「花がたみ」の題材、謡曲「花筐(はながたみ)」は、継体天皇の皇子時代に寵を受けた「照日の前」が形見の花筐を手に都に上り、紅葉狩りに行き逢った帝の前で舞うという内容である。
1918年の「焔」の題材、謡曲「葵上」は、『源氏物語』に登場する六条御息所の生霊を桃山風俗にて描いた、松園言うところの「数多くある絵のうち、たった一枚の凄艶な絵」である(誇り高い六条御息所は光源氏の正妻、葵の上への屈辱と嫉妬から生霊になり、葵の上を取り殺してしまう)。後れ毛を噛む女の着物には藤の花と蜘蛛の巣が描かれている。189×90cmの大作で、大変な迫力をもって見る者に迫る絵である。
上村松園のデータ
- 京都市下京区四条通御幸町出身
- 生誕:1875年4月23日
- 死没:1949年8月27日(74歳没)
- 国籍:日本
- ジャンル:日本画